arthumanKyushu Cultural Information

ARTICLEアーティストのリアルを届ける特集記事

カンヌのファッショニスタが語る、日本クオリティーと洋服の楽しみ方

 

はじめまして。マキコと申します。フランス、ニースの芸術大学に通っています。フランスに来て、 こちらの人々の日本への関心と情報量には日々驚かされています。そんな事実を目の当たりにすると、日本のパスポートを持っていても本当の意味で日本人なのかは分からないなと思うこの頃です。 彼らの目を通して見える日本は私自身のよりも数倍キラキラしていて面白いのです。そうか、そうい うところが面白いと思うのか!へ~!といった感じ。という訳で、私の周りのキラキラした人達の話 を勝手にお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

 

 

 

高い質がファッションそのもの?カンヌのファッションおたくも脱帽。日本製の価値

 

ラファエル・ガリア:カンヌ出身 パティシエ学生

 

写真から漂うジャポン

 

ソーシャルアプリケーションとは本当に便利なもので、普通に生活していたら出会わない人達と瞬時に繋がることができます。今から約1ヶ月ほど前、作品制作のインスピレーションのために全く知らない人の日常的な話をそのアプリケーションを使って集めているところでした。そこで発見したのがラファエル。

 

彼の写真を最初に見た時、日本のファッション雑誌のモデルでもしているのかと思いま した。特定して言うと雑誌ポパイに載っているような。そのぐらいどこかしら服の着方や背景との構 成がなんだか “日本的“。どうしてそんな雰囲気を漂わせているのか不思議でしょうがなかったので直 接本人に聞いてみることにしました。

 

 

 

 

数日後、実際に登場した姿も全く写真で見た印象そのまま。紺色の麻生地でできたシャツを一番上に 羽織っていて、触った瞬間に質の良さを感じました。「良いの着てるねー!」と言うと、「今日は上から下まで日本製なんだ。あ、唯一靴だけはフランス製。」との返答。目が一瞬にして点になりました。一応日本人の私でさえ日本製の服は 1 着しか持っていないのに。どうやったら日本製の服+フラ ンス製の靴で全身を埋め尽くすことができるのか。貧乏学生の私からしたら信じられない答でした。 それは写真からジャポンが漂うはずです。

 

 

日本のハンバーグは最高?ジャパンクオリティの魅力

 

ラファエルの第一回目の日本旅行は 2015 年春。それからほぼ一年に一回のペースで旅行に行っているそう。「日本は四季ごとに見どころがあって何度行っても楽しいし、食べ物だって適当に入った店でもそんなにまずいものが出てくることはないから安心できる。」東は日光、西は桜島まで、私よりたくさんの日本の名所を回り、東京で一番美味しいハンバーガーショップにまで行ったと言います。

本格派バーガーショップ burger kitchen CHATTY CHATTY

 

そこのハンバーガーに比べるとニースのハンバーガーは全然大したことないそうです。「(東京のあ の店のは)ホッントウニオイシイ!! ホント。 」と大絶賛。わざわざ日本でハンバーガー?本場のアメリカに居るわけでも、アメリカ人でもない私たちがここでああだこうだ言うのもちょっとおかしいんじゃないかと突っ込みたくなりますが、、それはあらゆる国の食べ物が当たり前のように何処ででも 食べれるようになった証拠だと思います。特にハンバーガーは象徴的ですね。

 

そして具体的に、その東京のハンバーガーは何が特別なのか。

1. まずお皿が木で出来ていていてプレゼンテーションが綺麗で食欲を誘う。

2. パンはお店オリジナルでふわふわ。切り方までちょっと普通とは違う。

3. 野菜が シャキシャキとても新鮮。

4.お肉のパテは豚の網脂で巻いて焼いてあるから肉汁が上手く保たれている。

 

などなど。一つ一つのパーツにこだわって構成してある様子が伺えます。このように細部までこだわれるのは日本人らしいと思います。ハンバーガーに限らず、外食において、日本ではそんなに高 いお金を払わなくても、値段相当またはそれ以上に美味しいものが食べられる印象があります。ニースでは3千円ぐらい出してもちょっと残念なものが出て来たり、お腹が満たされなかったりします。さあ外で夕食をしようとなった時、何処に行こうかいつも悩ましいのです。 いつか、熊本の美味しい新鮮なトマトを挟んだ赤牛のハンバーガーをラファエルが食べたらなんと言うのでしょう。楽しみです。

 

 

動きが出るXL XLLサイズで楽しむ

 

ちょっと話を戻して、日本のファッションに興味を持ち始めたのはここ最近、2 年前からだそう。 彼が日本のBOOKOFFで買って来たファッション雑誌の中にはやっぱりポパイがありました。その他にもBRUTUS、MEN‘S NON-NOなど。その他にも日本や韓国のブランドのインスタグラムをよく見るそうです。過去にはラッパー、ワークウェア、ミリタリー、1920 年代ファッションなど色々なモードを経て、現在は“オーバーサイズ!XL!”だそうです。

 

「ゆったりした服は着心地よく、ボリュームや布の質感が強調され、動きが出て面白い!」「それに男女関係なく着ることができる。」これらの理由には突っ込みなしで納得できました。

 

 

 

 

お金がかかっても、長持ちするものを選びたい

 

しかし何故わざわざ日本製の服を買うのか。巨大チェーンの洋服はたくさん売れるように低コストで無難な形の服しか作らないけれど、お気に入りの日本メーカーの服は生地の質や断裁の仕方、仕立てがとても丁寧で、他にない形を提案してくれるから、インターネットで取り寄せてでも買う価値があるのだそうです。

 

「お金がかかっても、布の質、 形、そして長持ちする良いものを選びたい。」日本製の服以外でもこちらの古着で良いものがあれば 買うそうです。そしてある程度して着なくなってきたら売買アプリケーションを使って売ります。売る時も元々の質が良いし、丁寧に着ているのでヘタレなく、割と良い値段で提示してもすぐに買い手が決まります。今はこうやってものが回っていくシステムもあるんですね。

 

 

 

 

バッグは床に置かない。手間隙かけて作られた物へのリスペクト

 

 

これは日本人なら普通だと思います。置いたとしても、綺麗なところか見極めて置くのではないでしょうか?私が見てきた限り欧米ではほとんどの人があまり気にせず何でも床にひょいっと置くのが普通です。電車あるいは公衆トイレの中ですら床にバッグを置いているのをよく見ます。そんな光景が当たり前になっていたのですが、なんとラファエルは床にバッグを置かないのです!逆にびっくりし てしまいました。服同様にカバンも大量生産ではない選りすぐりのものをいつも持っています。日本でも藍染の工房に見学に行ったり、自分でもパティシエの勉強をしていている彼は作り手側の視点で、手間暇かけて作られた物の有り難みを感じられるから何でも大事に扱うのではないかと思いまし た。

 

 

ここに載せている写真は 2016年から今まで友人と遊びで撮ったもので、特にインスタグラムにあげたりする訳でもないそうです。本当に服が好きなんですね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。この仕事の話を下さった松下さんが熊本はファッショ ン都市だったという記事*を見せて下さり、丁度最近知り合ったファッションおたくが居た!と思っ て、この一人に焦点を当てて書かせて頂きました。ラファエルに、その熊本の歴史を話したら是非行ってみたいと言っていました。洋服店の皆様、一年以内にやって来ますのでご接客どうぞよろしくお願い致します。これからも南仏のキラキラ人間を紹介させて頂きたいと思います。

 

 

 

フランス製の靴の老舗 Paraboot

https://www.paraboot.com/

 

TOKYO のホッントウニオイシイハンバーガー (当たり前ですがほっんとうに美味しいと思うかどう かには個人差があります。)
chatty burger:http://chattyburger.com/

 

 

Writer

マキコ 1988年熊本県生まれ。白川中学校を卒業後カナダへ。公立高校卒業、芸術大学卒業、キッズアートスクールで働き、バンクーバーの雨にうんざりしたのとカナダ滞在10年を区切りに帰熊。文房具屋、発達しょうがい児支援所、味噌・醤油・酢屋、熊大の非常勤講師、クラフトビールバー、個人的に英会話を教えるなどして、色々な職業を経験。今度はヨーロッパへの好奇心が押さえられなくなり、フランスで最も太陽が照る街ニースへ。ビラ・アーソン芸術大学院に就学中。

 

 

 

 

 

このページをシェアする

CATEGORIES

アーティスト一覧