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お昼ですよ!南仏ニースの暑さに負けない⾷欲対策

皆さまいかがお過ごしでしょうか。当たり前ですが暑いですね。私は最近ラジオで⾳楽や雑談を聴きながら黙々と作業をしています。これは何かに熱中して暑さを忘れようという試みなのですが、本当の熱中症になる可能性があるので要注意です。こんな感じでも真夏の南仏ニースでも⽣き延びているのは、頼りになるある2つのお助け要素のおかげです。今回はその2つをご紹介します!

 

 

 

お助け要素その1:必ずお昼ピッタリに鳴る「グー」じゃなくて「ボーフッ!」という⾳

 

ニースでは毎⽇12時ぴったりにすごく⼤きな爆発⾳がします。私が初めてこの⾳を聞いたのは、その⾳の発信地である丘からほのぼのと海岸と街の景⾊を眺めている丁度その時だったので、びっくりし過ぎて⼼臓が⽌まるかと思いました。周りにいた外国⼈観光客も「なにか事故があったのか!?」とそわそわしていました。しかしこの爆発⾳、事故でも事件でもなくちゃんとしたこの地の慣わしだったのです。

この話は1863年までさかのぼります。当時からすでにニースは冬でも毎⽇太陽が照り温暖で過ごしやすいとイギリス⼈やロシア⼈から⼈気のリゾート地でした。そんな⾏楽客の⼀⼈にスコットランド⼈のコンベントリー⼤佐という⼈がいて、⼤佐は毎年冬の間、夫婦でニースに滞在していました。⼤佐の妻は毎朝お散歩に⾏くのが好きで、海岸沿いを歩いたり街の広場でおしゃべりをして楽しんでいました。しかしお昼になってもいつもなかなか帰って来ないので、⼤佐は妻に時間を知らせるために⾃治体から許可をもらい⼤砲を鳴らすことにしたのだそうです。その時代はもちろんスマホや腕時計もなく、道の⼊り組んだ街中に妻を探しに⾏くのも困難だった為このアイデアを思いついたそうです。それにしてもすごく⼤胆な発想です。

 

 

 

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コンベントリー⼤佐がいなくなってからもこの習慣は市⺠に愛されずっと守られて来ました。現在はフィリップ・アーネロさんという花⽕師の⽅が、⾬の⽇も晴れの⽇も⽋かさず丘に登り、⼤砲の代わりに⾊が出ない⾳だけの花⽕を打ち上げています。ただ、数年前にニースで起きたテロ事件の犠牲者に賛辞を送るため 7 ⽉ 14 ⽇は鳴らしません。それ以外にはストライキなどで丘までたどり着けなかった⽇がこれまで2⽇ほどあり、コロナの外出制限期間中は2ヶ⽉も打ち上げができなかったそうです。お昼の爆発⾳は平和の象徴でもあるんですねえ。ちなみに毎年 4 ⽉ 1 ⽇のエイプリールフールは11時に鳴らすそうです。https://www.atlasobscura.com/articles/daily-firework-in-nice-france

 

 

⼀⾒⼩さな花⽕ですが「ボーフッ!」と街中に響き渡ります。私は打ち上げの丘から4キロ離れたところに住んでいますが、しっかり聞こえます。いつもこの⾳で熱中していることからハッと⽬が覚めて「お昼⾷べなきゃ!」となるわけです。暑くてイマイチ⾷欲が湧かなくてボヤボヤしていたら「ランチの営業時間終わっちゃってるじゃない!」とならないように、この合図はレストラン産業にも⼤いに貢献しているんじゃないかと思います。

https://www.atlasobscura.com/articles/daily-firework-in-nice-france

 

このことを知らなくてニースにいつか⾏こうと思っていた⽅々にはネタばらしになっちゃってつまらないですが、⼼臓が弱い⼈のためを思うと良いことをしたかなと思います。是⾮またいつか渡航が可能な⽇が来たら、どんだけびっくりする⾳なのか実際に体感しに来て頂きたいです。

 

参考資料:
https://france3-regions.francetvinfo.fr/provence-alpes-cote-d-azur/alpesmaritimes/nice/deconfinement-coup-canon-midi-nice-revient-apres-deux-mois-silenceinedit-1827210.html

 

 

 

 

お助け要素その2:「スイカに塩をふって⾷べる」のその先へ。ニースの⼀流シェフが教えてくれる簡単ガスパッチョ

 

ガスパッチョって何かご存知ですか?「聞いたことはあるけどなんだっけ?」という⽅もいらっしゃるかと思います。簡単に⾔うとスペイン発祥の野菜冷製スープのことです。1161年にはもうガスパッチョの原型は存在していたそうで、元々はパン、ニンニク、オリーブオイルと⽔だけで野菜は⼊っていない、貧しい⼈達が⾷べるスープでした。しかし1950年代ごろから進化し始め、地中海に⾯する国々へ広まり、そして今では世界中で活躍する夏のお供になったのです。こんなガスパッチョの曲まであります。

 

 


「暑いわー!」「そんな時はガスパッチョよー!」みたいな掛け合いの中で作り⽅を説明しています。塩分と栄養補給が簡単にできる美味しいガスパッチョは⽇本の皆さんにも凄くおすすめなので、今回はニースで⼤⼈気のミシュラン取りまくり⽇本⼈シェフ、関義宜さんに作り⽅を教えてもらいました。

 

 

ガスパッチョ(約10⽫分)
材料:トマト 1kg
きゅうり 150g
パプリカ 150g
⽟ねぎ 100g
ニンニク 2 かけ
パン 50g
オリーブオイル 60g
酢 20〜40g
⽔ 300g
塩 10g
タバスコ 適量
冷蔵庫保存で⼤体 5 ⽇ぐらい持ちます。

 

 

1.トマトは芯を取ってざく切り、きゅうりは⽪を剥いてざく切り、パプリカも種取ってざく切り、⽟ねぎとニンニクもざく切り。(これは⽟ねぎとニンニクが効いてる分量なのでお好みで調整してください。)
2. 全ての材料を合わせて冷蔵庫に⼀晩置く。
3. 翌⽇ミキサーにかけて出来上がり。

 

スープなのに⽕も使わないなんて、なんて簡単なんでしょう!パンは⼀⽇経って硬くなったバゲットなどハード系のパンを⼤体使うのですが、無ければ⾷パンでもok、もしくは⼊れなくても ok です。パンはとろみ付けとまろやかさを出すために⼊れるので酸味が効きすぎる場合はお酢の量などを調整してください。関シェフはパプリカを焼いてアイスにしたのをのせたり、ベーコンと⼭⽺のフレッシュチーズをのせたりするそうです。セロリやきゅうりなど⼩さく切ったものや、タコやエビなども⼩さく切って浮き実にしたら⽴派な前菜になります。スイカを仕上げに⼊れてもおいしいそうです。お好みでアレンジして無限⼤に楽しめますね。

ニースのスーパーではガスパッチョが紙パックでも売られています。1L で約400円ぐらいです。⼀つのメーカーで6種類以上もあり、中には「きゅうりとミントとヨーグルト」とか「スイカとトマトとミント」の組み合わせもあります。

スイカのガスパッチョはスイカ県代表として試さずにはいられなかったのでドキドキしながら買ってみました。ガクッとするほどパッケージ画像とは⾊が全然違います。でも味は優しい⽢酸っぱさで、ミントがアクセントになって結構おいしいです!こちらではスイカの⼤⽟でも300円以内で買えるのでこんなにふんだんに使えるんでしょうね。⽇本でもワケありで安売りしてるスイカがあったらガスパッチョにして⾷べてみてほしいです。

資料参考:https://www.lopinion.fr/blog/mille-saveurs/histoire-l-embourgeoisement-enespagne-cas-gazpacho-episode-1-2646

 

 

 

 

頼れるのもには頼る

 

関さんは実は私が去年夏のアルバイトでお世話になったビストロのシェフで、毎
⽇、たくさんの笑いと美味しすぎる賄いをご馳⾛してくださいました。毎⽇満員御礼で⼤賑わいだったお店を今はコロナのため⾃粛中で閉めています。またみんなで関さんの美味しい料理を⾷べられる⽇が来るまで、暑さに負けず、このお助け要素2つに頼りながら過ごしたいと思います。皆さんも頼れるものには頼って、お元気で!

 

 

 

Writer

マキコ 1988 年熊本県生まれ。白川中学校を卒業後カナダへ。公立高校卒業、芸術大学卒業、キッズアートスクールで働き、バンクーバーの雨にうんざりしたのとカナダ滞在 10 年を区切りに帰熊。文房具屋、発達しょうがい児支援所、味噌・醤油・酢屋、熊大の非常勤講師、クラフトビールバー、個人的に英会話を教えるなどして、色々な職業を経験。今度はヨーロッパへの好奇心が押さえられなくなり、フランスで最も太陽が照る街ニースへ。ビラ・アーソン芸術大学院に就学中。

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