ARTICLEアーティストのリアルを届ける特集記事
取材・文・写真 / Daiki Narimatsu
熊本古着回想とは…
SNSがなかった”あの頃”の古着屋のような、そんな雰囲気を感じることができるお店で購入したヴィンテージアイテムをご紹介させていただいています。
まずはじめに
期待してお待ちいただいた読者の皆様に謝罪させてください。
初回の更新から長い期間更新が滞ってしまい申し訳ございません。たしか初投稿が2月初旬だったのですが、そこから新型コロナウイルの影響があれよあれよと拡大し、気付けば緊急事態宣言に。
とても「遊びに行ってみてください」とご来店を案内できる状況になかったため、記事の更新を一旦休止しておりました。今回より新たな気持ちで定期的に更新開始して参りますので何卒宜しくお願いいたします。
さて、気を取り直して…。
記念すべき第一回目は【PACIFICA(パシフィカ)】さんです!!
【PACIFICA(パシフィカ)】
熊本市北区 楠にて本場アメリカ製のブランドからビンテージ、古着をデザインソースにした国内のブランドまで”アメカジ”という括りの洋服・小物・雑貨を販売されているショップさんです。
店舗住所:〒861-8003 熊本県熊本市北区楠3丁目9−12
営業時間:12~19時
今回ご紹介させていただくアイテムは【Peter Max / ピーターマックス】のプリントTシャツです。
まずは【Peter Max(ピーターマックス)】さんのご紹介をさせていただきたいのですが、是非Wikipediaにて経歴などご覧いただけますと幸いです。こと細かくご紹介されています(笑)
とにかくご本人の頭の中はどーなってんだって言いたいくらい、表現されたアート・イラストはカラフルで特徴的な色彩を放っています。僕が古着を好きになり、着るようになったのは15歳くらいでした。
地元の先輩がカッコよく古着やヴィンテージを着こなしているのに憧れたことがきっかけなので、当たり前ですが最初から古着がそれぞれ持っているバックボーンや歴史は全く把握しておりませんでした。
やっぱり、そういったものって直接お店に足を運んで店員さんから教えてもらうしかないんですよね。で、古着が流行ってるとはいえ、カッコよく着こなしたいものですからどうしてもカレッジ系のロゴTシャツばかり買ってしまいがちな時期があったんですね。気付けば手持ちの古着のTシャツがそればかりになっていたので、購入したのが今回ご紹介させていただくピーターマックスのTシャツでした。
パシフィカさんは以前、熊本市の中心部である上通にショップがありました。もちろん学生時代の僕が初めて立ち寄らせていただいた際も、まだお店は上通に。オーナーの鮫島さんが選ぶ商品はアメカジをベースに新品+古着を絶妙な加減でミックスした商品構成になっており、主に1970年代のアメリカ西海岸の雰囲気をコーディネート提案されています。
ジーパンにプリントTeeを着て、秋になったらユーズドのミリタリーシャツを羽織る。んで、BBキャップかNYハットのキャスケット、みたいな。今でこそ定番となっているそんなアメカジコーデを僕に叩き込んでくれた、ヒト・モノともに個人的に尊敬しているショップさんです。
そこで購入した古着のTシャツが【Peter Max】でした。当時、ピーターマックスなんて全然知らなくて、サメさんのお話を伺っていますと、どうやら凄い画家さんらしい。アートを評価できる眼なんて学生時代の僕にはありませんが、サメさんが言うなら凄いんだろうな。。
・・・ということで購入!
ちなみに、これ、ピーターマックスのTシャツの中でも変化球と言いますか…かなり特殊なタイプなんですよ。上記でご紹介したWikiをご覧いただいた方ならお分かりいただけると思いますが、ピーターマックスは画家なので、その独特な配色とグラフィックが強みなんです!
参考までに僕が所有している別のピーターマックスTeeを貼っておきますね。
<ピーターマックスのTシャツ>と古着で言えば、大体このようなポスター画がプリントされたアイテムが代表的です。他デザインも沢山あります!
でも・・・ 今回のアイテムは・・・
なんとプリントがイラストではなく、サインのみ。シンプル過ぎてレア。これをパシフィカさんがブログにUPされていたのを拝見し、大学の講義終わりに即購入しに行きました。
タグはプリントタグ。メーカーは…どこだろう。購入から9年たちましたが勉強不足で未だに分かりません。ただ、タグの素材に注目。
よくHANESがBEEFY-Tで使用しているような光沢のあるポリエステルサテン素材ではなく、コットン製の帆布か布帛のようなものに染み込みプリントされているので、そういった生産背景から製造年代も1970年代あたりかと推測できます。ブランドタグのフォントもドンズバで70sですし。
これね~ 実はデッドストックだったんですよ。たしか12000円くらいで購入したはず。僕、ヴィンテージもお構いなしに着ちゃう人なので洗濯してしまっていて品質表示のタグの印字がかすれていますが、もともとはこんな感じでした↓
引用元)2011年8月26日 パシフィカさんBLOGより画像参照
まさかのシリアルナンバー入り!!!しかも手描き!29 / 150!!!
パシフィカオーナーの鮫島さん(サメさん)曰く、どうやらニューヨーク州立美術館でピーターマックスの展示会が開催された際に記念して生産された限定アイテムだったのではないかというお話がありました。
それで、シリアルナンバーを当時の持ち主が書いたのか、マックスさんご本人に書いてもらったのか、製作スタッフさんが書いたのか…定かではありませんが、はたして購入者(持ち主)が29 / 150というデータを把握していますかね???
分母の150枚はアナウンスがあっても、29枚目って数字はどうやって掴んだのか???これ、書いたの本人じゃね???そんな話を二人してお店の中で推測しながら私は購入!そして着て、洗ったらこうなりました!!!
まさかの水性ペン!!!シリアルナンバーが消えました!!!まぁ でも良いです!コレクションすべきヴィンテージウェアも存在するんだなと勉強になりました(泣笑)着るべきじゃなかった。
ただ、T-shirtブランド【DARGO】をやっている僕の視点で見ても、面白いポイントが他にもあります。
まず左袖から。
なぜか袖にポケット付き。企画として、何の意向だったのか…。シガレットケース(タバコ入れ)かな。
袖口もバインダーリブ(挟みこみ)ですからね。
現在のファッションマーケットでは、カットソーは大量生産が主流。そうやってコストを下げないと市場でTシャツなんか誰も買ってくれませんから、製造時にいちいち袖を共生地で挟んで、縫製して、伸びないように補強する手間暇なんて、Tシャツに取り入れることは絶対にしません。
でもこれは そうなっていますね。景気が良かったのかもしれません。
首もバインダーネックになっていました。
で、面白いのがそのピッチの細さ。
ほっそ!(笑)
チャンピオンのバインダーネックのTシャツでももっと太いはず。T-1011とか思い浮かべてみてください。
普段なら武骨でラギットな雰囲気を放つバインダーネックも、細く仕上げることでスマートな首元の印象になりますね。
裾の縫製はシングルステッチでした。これも70sのTシャツによくみられる縫製方法。
糸1本で縫製されています。特に90年代以降、USA製のTシャツが激減し、生産国が諸外国に移ったことをキッカケに袖・裾の縫製はシングル→ダブルに移行されます。なので古着のTシャツで袖シングルはなかなかレア。そういう変態的な部分で選ぶのも僕は全然アリだと強く思っています。
プリントはラバープリント。僕が何度か洗濯しているのでクラック(ひび割れ)していますね。
黄色ボディに水色でプリントされています。
この写真、無加工です。
色の原理として “黄色と青を混ぜると緑色” になるのですが、ひび割れたプリントの隙間からボディの黄色が覗いているのでMAXの下側がすこし黄緑っぽく見えるのは、そんな理由ですね。経年変化でインクの色が変わってくるのも男心をくすぐられます^^
あーー。いつ見てもカッコいい。。ということで今回ご紹介させていただいたヴィンテージウェアはピーターマックスのサインTeeでした。
ちなみに初めて1万円以上のヴィンテージT-shirtを買ったのもコレが初めて。僕がアメカジを好きになって、ファッション業界に飛び込もうとしたキカッケでもあります。
パシフィカさんはその後、熊本市北区楠へ店舗移転されましたが、現在も新品+古着のセレクトに加え、アンティークやヴィンテージの照明・器・マグカップなどもラインナップに仲間入りし、変わらない独自のアメカジ観で営業されています。
皆様も是非一度足を運んでみられてください!!
Shop Info
PACIFICA
〒861-8003 熊本県熊本市北区楠3丁目9−12
営業時間:12~19時
TEL:096-337-2205