arthumanKyushu Cultural Information

ARTICLEアーティストのリアルを届ける特集記事

家の中で楽しむフランスのクリスマス

あっという間にこの異様な 2020 年も終わりですね。全てが半開きのフランスはクリ スマスの盛り上がり方もいつもの半分です。そこで今回は、フランスの家庭でのク リスマスの飾りや楽しみ方をお見せしたいと思います。
みんなの家の中を覗く前にまずは外の様子をちらりとお見せします。

 

 

 

小さなものから大きな物まで、たくさんのもみの木がマルシェやスーパーの前で売られています。

 

 

 

木の枝が開いたままだと運びにくいので、このように筒に通して網でおおってお持ち帰りです。そんなに大きくない物はこれを肩に担いで持って帰ります。

 

 

 

いつもはここの広場にクリスマスマーケットがずらりと並ぶのですが今年はありません。

 

 

 

ヤシの木をライトアップさせるのは今年も変わりません。クリスマス感があまり伝わらない南仏ならではの光景です。
それでは屋内のクリスマス飾りをご紹介していきます。まずは、南仏編から。

 

 

 

Crèche provençale © Mike Fouque – stock.adobe.com
参考資料サントン人形について:https://picomaca.com/c01.html

 

これらの小さなフィギュアはプロヴァンス特有のサントン人形という土人形です。 「サントン」という言葉は、プロヴァンス語で「小さな聖人」を意味する”santoùon” という語に由来します。キリスト降誕の登場人物を中心に、パン屋さんや農家など 色々な職業の人物も存在し、人々の生活を表現しています。

 

 

 


私は2年前のクリスマスフリーマケットで見つけた、この水瓶を持った人の像が気に入って1.5 ユーロ(約200円)で買いました。南仏特有のテラコッタ色の素朴な質感が特徴です。このように素焼きのまま色付けされてない素朴なものまでたくさんの種類があります。

 

 

 

http://www.nd-chretiente.com/dotclear/public/.csm_ble-de-la-sainte-barbe_6b222e2bf4_s.jpg

 

これは12月4日が聖バルバラの誕生日を祝う飾りです。プロヴァンス地方
では、3つの器に濡らした脱脂綿をひきその上に麦、レンズ豆、又はひよこ豆を蒔いて発芽させます。クリスマスの日にはこれらの芽が青々と伸び、次の季節の豊作を示します。上の写真は麦です。

 

これはこの習慣について教えてくれた友達のブリジットさんのレンズ豆。育て始めてから間もない状態。

 

12月20日現在の状態。クリスマスの後はこれをどうするのか聞いてみたら、ただ捨てると行っていました。しかし、昔はこれを畑に移植して育てていたようです。 豊作を願う飾りは日本のしめ縄のようにここにもあるんですね。
お次はパリに住んでいるマチルダのお家から。

 

 

 

何も飾りがついていないリースに自分で飾り付けをしたそうです。紙でできた天使は北フランスのアルザス地方というところで買ったものだそうです。シンプルなリースに丁度良いアクセントです。

 

 

これはアドベントキャンドルです。最近は日本でもアドベントカレンダーと言って、クリスマスまでの日数を数えるためのカレンダーが売られるようになりましたが、これはそのロウソクバージョンです。12月1日から毎晩火をつけてカウントダウンをするそうです。気をつけて見ていないと、うっかり一気に数日分燃やしてしまいそうです。

 

 

 

 

これは家で簡単に作れるみかんロウソクだそうです。マチルダが子供だった頃にお父さんが作り方を教えてくれたそうです。

作り方をかんたんに説明します。

 

 

材料:みかん、ナイフ、植物油、ライターかマッチ

 

1. まず、みかんを半分に切って皮を破かないように、そして真ん中の白い芯と 底の方が切れないように実を取り出します。
2. 下半分の皮の器に植物油(オリーブオイルなど)を注ぎます。この時、芯に 油がかかるように注ぐのがポイントです。上半分の皮は燃えないようにてっ ぺんの部分を好きな形に切り抜きます。上だけでなく所々に穴を開けても綺 麗かもしれません。
3. 芯に火をつけて蓋をすれば完成です。どうぞ火の用心で、その場を離れる場 合は必ず火を消してください。

 

日本でもみかんの皮はその香りを楽しむためにお風呂に入れたりしますが、ロウソクにするのは見たことが無かったですね。火の熱でじわじわとみかんの香りが広がるそうです。
フランスの中でもやはりクリスマスが本場なのは北の方です。特にアルザス地方というところはドイツとスイスの国境に面し、2国の影響を受けたたくさんのクリスマス飾りや料理が存在します。お次はそのアルザス地方に住んでいるキャティさんのクリスマスクッキーについてです。

 

 

 

どうでしょうこの質の高さ。毎年クリスマスに約20種類のクッキーを作っている
そうです。これらのレシピはフランス、ドイツ、スイス3つの国から来ているそうです。アルザス地方はその昔ドイツに支配されていたそうです。特にプレッツェル型のクッキーにその影響を感じます。

 

 

 

全部一緒に盛るとこんなにたくさん。 今回はキャティさんにミラネと言うクッキーのレシピを教えてもらいました。ミラ ネはスイス由来のクッキーで、20 種類の中でも一番かんたんに作れるそうです。キ ャティさんは子供達と一緒に作ったと言っていました。(写真の中央付近に写って いる黄色いクリスマスツリー型のクッキーです。)

 

 

 

レモン風味のバタークッキー「ミラネ」の作り方

材料(約 80 個分):
・バター250g・砂糖225g・塩ひとつまみ・卵3個
・レモン1個・小麦粉500g
・卵の黄身1つ (クッキー表面のコーティング用に)

 

1. バターは軽くふわふわになるようにたたきます。
2. バター、砂糖、塩、卵3個を全体が白っぽくなるまで混ぜ合わせます。
3. レモンの皮をすりおろして加えます。
4. 小⻨粉も加えて混ぜ合わせ、冷蔵庫で約2時間冷やします。
5. 台の上に薄く小⻨粉をひき、その上に 5mm 以上の厚さに生地を広げます。クッキーカッターで好きな形に切り抜きます。
6. ベーキングペーパーの上に並べてさらに約15分冷蔵庫で冷やします。
7. 卵⻩を表面に塗ります。
8. 約 200 度に予熱したオーブンの真ん中で約 10 分焼いたら出来上がり。

 

 

濃厚なバターとレモンの爽やかさでバランスのとれたとても美味しいクッキーです。
どうでしたでしょうか。私は昔カナダに住んでいたので結構派手なクリスマスに慣れていましたが、こうやってフランスの家庭の飾りや習慣を見ると意外と素朴で良いなと思います。今年は外で動き回れない分、家の中で自分でやってみると面白いことが見つかるかもしれませんね。来年はもっと明るい年になりますように。

 

 

 

 

Writer

マキコ 1988 年熊本県生まれ。白川中学校を卒業後カナダへ。公立高校卒業、芸術大学卒業、キッズ アートスクールで働き、バンクーバーの雨にうんざりしたのとカナダ滞在 10 年を区切りに帰熊。文 房具屋、発達しょうがい児支援所、味噌・醤油・酢屋、熊大の非常勤講師、クラフトビールバー、個 人的に英会話を教えるなどして、色々な職業を経験。今度はヨーロッパへの好奇心が押さえられなく なり、フランスで最も太陽が照る街ニースへ。ビラ・アーソン芸術大学院に就学中。

このページをシェアする

CATEGORIES

アーティスト一覧