ARTICLEアーティストのリアルを届ける特集記事
外国人観光客で賑わう熊本県の観光名所「水前寺成趣園」。その参道にオーガニックコットン製品を中心に扱う、ライフスタイルショップ「le Coton(ル・コットン)」がオープンしました。今回は、店主である田尻友美さんに出店への経緯を尋ねました。
田尻さん直筆の文字からロゴを作成。風を感じる爽やかな正面玄関。
AHP:
この度は、ショップオープンおめでとうございます。6月24日(土)にオープンしたと伺っていますが、まずはどのようなお店か教えていただけますか?
田尻:
オーガニックコットンの商品を幅広く扱っています。女性用のインナーウェアからアウター、パジャマ、赤ちゃんのお肌着、布おむつやお洋服、寝具、メンズアイテムもございます。安心安全な衣類のご提供を通して、心地よい暮らしの提案をすることがこのお店のコンセプトです。
お客様と笑顔で話す田尻さん
AHP:
洋服のお店だと、客足が多い街中に出店される方も多いと思いますが、どうして水前寺参道を選ばれたので しょうか?また、元々はどこかでお店をされていたのでしょうか?
田尻:
お店はなく、自宅やイベント出店、web ショップでの運営を行っていました。元々は、「Tt」と言う名前で 心地よいライフスタイルの提案を“衣”から始めていて、商品の販売や原料生産を目指した綿の栽培、また、「おはなし会」という第一線で活躍する方々のお話をみんなで聞いて会話する活動をしていました。そうした中 で、以前から活動の拠点となる実店舗が欲しいと思っていました。
今回オープンした場所は、時間貸しをされていたスペースで、これまで様々な提案をしていました。その中 でたまたま管理されている会社の方が、この貸しスペースの新たな活用法を検討されていると聞き、ショップオープンという機会に繋がりました。ただ、その背景には以前の勤め先の社長の存在も大きく、「やるなら覚悟を決めて、きちんとお店を構えてチャレンジしてみなさい」とアドバイスをいただいて、イベント出 店を繰り返していた自分が一歩を踏み出すが大きなきっかけになりました。
上:宇城市の畑で、種をまく準備をしている様子 下:芽が出始めた合志市の畑
AHP:
実店舗を出すとなると、家賃や光熱費、仕入れ等の固定費だけでなく様々な面で費用負担が大きくなると思いますが、不安はなかったのでしょうか?
田尻:
不安はあります。以前は自宅で試着会など行なっていましたが、知らない人には来てもらいづらかったこともあり、いろんな方が通る場所にお店を持ちたいなと考えていました。また、イベント出店では、移動を繰り返すことや気候による商品のダメージを心配していました。衣食住の提案をしたい自分にとって安定的にライフスタイル提案ができる場所があることは、不安より喜びや楽しみといった感覚が少しだけ上回りました。
出店は特にリスクだとは思わず、家賃とか仕入れとか固定費があることをやる気に変えようとポジティブに捉えていました。イベント出店のように限られたスペースで、少ない商品を見せることにも限界を感じていましたし、それなら出店して商品の全体像を見せることでブランドの良さを伝えたいという気持ちが強かったです。
おもてなしの心を大切に、一点一点、丁寧に商品をたたむ田尻さん
AHP:
今回が初めての出店となりましたが、オープンに到るまでたくさんの苦労があったかと思います。
田尻:
実は、「やるっ!」と決めて、オープンまで 2 か月しかなかったんです。内装工事もバタバタしました。他の準備も本当に大変でした。いざオープンするとなると、商品の品揃えや見せ方を考える必要もありますし、まだお店の名前も決まっていなかったので、ロゴやショップカードもありませんでした。もう何が必要か分からなくて、記憶では 2 週間前までよく分かっていませんでした。商品や什器を揃えることも大変だったのですが、お店の名前やロゴを決めるときに、どんな想いで自分はお店をしようとしているのか?コンセプトは何か?そうした頭の中を整理し言葉にすることは特に大変でした。
AHP:
実際にオープンしてみて 10 日ほど経ちましたが、手応えはいかがですか?
田尻:
独特な商品なので、関心を持ってくださる方は最初は少ないだろうなと思っていましたが、想像以上に手に取って見てくださる方がいらっしゃることを嬉しく思っています。30~40 代の女性をターゲットに商品をラインナップしてオープンしましたが、蓋を開けてみると、幅広い方々にご来店いただいています。
売り上げについて言えば、ベビー商品がギフト用に購入されていますが、特にアンダーウェアなどの日常的に使用する商品が動いています。現時点では目標の 80% くらいで推移しています。新規の方、観光客の方が予測していたより購入につながっています。ただ、オープン祝いで買ってくださった方が多いのも事実なので、今後を考えると決して楽観視できるわけではないと考えています。そういう意味では、お店をオープンしましたと告知できるようなイベントを企画するなど、今後について色々考えたいと思っています。
上:肌触りがよく、人気のアンダーウェア 中:シーズン限定ウェア 下:タオル、ベビーグッズ、靴下
AHP:
今後の目標など考えていることについて教えてください。
田尻:
「身近なものを身近なところでより良いものを」というところで、毎日着る綿製品だからこそ、その原料となる綿も作れないかと綿花栽培を始めて 3 年になります。今は商品を仕入れていますが、自分たちで育てた綿から製品を生産できるようになりたいと考えています。お店については、販売やイベント企画を通して、この魅力ある水前寺参道を PR していきたいです。
AHP:
最後に、これからお店の出店を目指している人たちに向けてコメントをいただけますか?
田尻:
私のオープンのきっかけもそうですが、ひょんなことがきっかけになることもあると思います。その意味で、思い続けることが大事だと感じています。お店を構えたいと思っている方が読んでらっしゃるとすれば、“諦めずに活動を続けて欲しい” と思います。
le Coton 店主 田尻友美
1984 年、宇城市生まれ。崇城大学卒業後、生花店やホテルで働く。2011 年から東京のオーガニックコットン製品製造販売会社に勤務。2015 年、結婚を機に帰熊。今年 6 月、水前寺公園参道沿いに「le Coton(ル・コットン)」オープン。熊本市で夫と 2 歳の息子の 3 人暮らし。
店舗情報
住所:〒862-0956 熊本市中央区水前寺公園 5-23-1F (水前寺参道内)
TEL:090-9571-7898
営業時間: 11:00~16:00 (月曜・不定休)
HP:
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