motoatom

AHP:
motoさんはアートヒューマンフェスタへ第一回、第二回とも参加いただきましたね。その節は本当にお世話になりました。こうやってお話できる機会は貴重ですのでインタビューとても楽しみにしていました。本日は宜しくお願いします。

 

motoatom:
そうですね、あの時はゆっくりお話できませんでしたよね。とても楽しみです。こちらこそ宜しくお願いします。

 

AHP:
さて、motoさんは現在どういった活動をされていますか?

 

motoatom:
僕は【moto(モト)】というアーティスト名で、熊本を中心に活動しています。ブランドネームは【motoatom / モトアトム】といいます。Atomは手塚治虫の「鉄腕少年アトム」からとっています。これには僕がつくるものに少年の心をくすぐるようなもの、面白いものを作りたい、そしてありきたりなモノは作りたくないという意味を込めました。主にディティール的なギミックをテーマにハンドペイント等を駆使して製作を心掛けています。見た目にひとつふたつ仕掛けをしているのが僕の作品の特徴です。

 

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AHP:
なるほど。特徴を聞いただけですが、まさにクリエイターといった感じですね。実際にイベントで作品を拝見した際も、単体的には個性のあるアイテムといったイメージで、コーディネートの中で組み合わせると楽しそうなアイテムに感じました。
そんなmotoさんは熊本市出身ということで、熊本ではどのように過ごされてきましたか?

 

motoatom:
僕は熊本市の北部中学校を卒業し、千原台高校へ進みました。学生時代は洋服やファッションが好きだったので、高校卒業後はヒロデザイン専門学校へ進学しました。卒業後はバッグブランドで勤務し、オリジナルバッグやOEMバッグの製作に携わります。その後、退職し、現在は大手眼鏡チェーン店の熊本市内の店舗にて社員として勤務しながら、自身のブランドアイテムを並行して製作しています。2017年3月で閉店になりましたが、九品寺(熊大病院前)のカフェ・ウォークでは 2か月に1回、ライブペイントを行っていました。嫁さん(同じくFestaへ参加していただいたアーティスト「えりなワールド」)と出会った場所なので少し寂しかったですね(笑)

 

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AHP:
なるほど。motoさんが現在のクリエイター活動を始められたきっかけは何だったんですか?

 

motoatom:
専門学校に通った延長ですね。課題があったので製作を始めました。決して何となくという気持ちで始めたわけではありませんが、製作に取り組むたびに熱が入っていったような感じです。

 

AHP:
実際にモノづくりを始めてみていかがでしたか?イメージや理想とギャップはありましたか?

 

motoatom:
そうですね、ギャップという点では、良い部分と悪い部分がありますね。

 

AHP:
それぞれ聞かせていただけますか?

 

motoatom:
僕はファッションがすごく好きなんですけど、今のファッションスタイルってとても幅広いなと。ひと昔前に比べて、本当に多くのスタイルが展開されていると思います。専門学校や業界に身を置いてみると、買い手側とは違って、余計に強く感じます。

 

AHP:
逆に悪いギャップは見えましたか?

 

motoatom:
今の街行く人を見てみると、みんな同じ格好だなと。ネットの影響もあるのでしょうか。選びやすい格好を選んでいるような気がします。僕のファッション観のベースは古着なんですね。古着全盛期だった2000年前半の並木坂(熊本)といえばイメージが湧くでしょうか。基本的に1点モノが自分のベースに有って、その感覚だったり、楽しかったあの頃と比べたときに、今はみなさん同じ服装のカテゴリーに固まっているように思えます。逆に同じカテゴリーにみんないたがっているというか。
高校生のときに洋服の魅力に気付かされ、虜になり、熊本の街でいろんな洋服を買う。僕はそんな普通の少年でした。当時はラルフローレンのラギッドラインのRRLにハマったり、成松さんもご存じのとおり2005年前後の並木坂はとにかく古着ブームでしたから、その影響もあって古着やヴィンテージにもハマりました。あの当時、みんなどうやって自分らしさを表現できるかを探っていて、古着という1点モノのツールは時代的にも最適だったのではないでしょうか。もちろん、僕も古着にどっぷりハマりました。ですので自分の作品では1点モノにこだわって製作に取り組んでいます。

 

AHP:
たしかに当時、特に2005年くらいまで並木坂は人でパンパンでしたもんね。それもみんな古着目当て。僕ら1989年世代だと、中学3年のころですね。週末になるとお店に入れないこともありましたよね、他のお客さんが店内にいすぎて(笑)で、他のお店を見て周って、2~3時間後にまた来店するパターン。とにかく若者のファッションへの熱が街中でリアルに表現されている時代でした。

 

motoatom:
ですね(笑)そうやって街のリアルというか、地元に根付いているストリートをずっと捉えていましたが、専門学校に入学してからは自分の好きなジャンル以外にもモードやミリタリー、カジュアルなど本当に幅広く見る機会があったので、ひとえに「服」といってもたくさんジャンルがあるんだなと。今までの自分にない感覚で、業界を幅広く見ることができました。これは悪いギャップではありませんが、総じて今のファッション業界は流れが凄いですね。広く感じます。

 

AHP:
「広い」とは?「早い」ではなくて?

 

motoatom:
はい、早いというよりは「広い」ですね。先ほども話がありましたが、2005年以前の古着が流行っていた当時は“他人と違うスタイルで如何にカッコよく見せるか”という雰囲気が強かったように感じています。まだスマホは流通しておらず、ガラケーの時代でネットやアプリも現在のように発達していませんでしたし、限られた情報源のひとつである雑誌のスナップコーナー(街行くオシャレな人を撮影する雑誌の特集のこと)を見ていても、熊本の街ではとにかくお洒落な人が多かったですね。今はどちらかと言えば、ひとつのスタイルをたくさんの人が追っかけて真似している集団型のように感じていて、ジャンルごとに大きい集団が存在しているという意味で「広い」という表現を使いました。ただ、みんなお洒落ですし、スタイルが分かりやすいものになっているので、それはそれで良いのかもしれません。しかし、古着が流行った時代が青春時代でもある僕としてはおしゃれな人口が増えても、個性は減ったように感じています。

 

AHP:
当時は「GET ON」や「Boon!」などの全国ファッション誌を始め、九州エリアのファッションシーンに焦点を当てた「Spymaster」、そして熊本で編集されていたローカル誌「No!」がファッションや街のお洒落なヒトの情報源でしたね。すべて廃刊しましたが、誌面でしか得ることのできないアナログな情報は貴重でしたし、本当に懐かしいです。motoさんは当時、熊本ではどのようなお店に通われていましたか?

 

motoatom:
当時は「KINGS」や「Qee」に通っていました。古着ばかり買っていましたね。今の自分のファッションのルーツも古着からです。

 

AHP:
なるほど。当時、ガッツリと古着やヴィンテージを扱っていたお店ですね。でもご自身の作風を見ていると全然違う雰囲気に感じます。

 

motoatom:
そうですね。今はもっとポップに表現しているというか、作品では自分のファッション観のルーツを優先するより、具体的には思考を凝らしたギミックや一風変わったディテール等を優先して作品に昇華しています。大多数は「構造」で勝負しているモノが少ないと感じているので、生地やパーツを変更して製作してみたり、1点モノならではの価値観で表現していきたいですね。

 

AHP:
では、今はギミックを追い求めて製作に打ち込んでいらしゃるんですね。

 

motoatom:
そうですね。「追い求める」という感覚が好きなんですよね。昔からおもちゃが好きでしたし、構造を追い求めるのが好きなので、その感覚を洋服へアウトプットしているつもりです。

 

AHP:
一般の方が聞いた時に少し難しく聞こえると思うので、あえて踏み込んだ質問をさせていただきます。motoさんの中で“ギミック”とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか?

 

motoatom:
例えば形を変えることなどですね。一般的な形が基本であれば、基本から少し”ズラす”感覚でしょうか。根本的には、着用者にひと手間を加えてほしいというか。ボタンの付け位置を定位置でないところに配置したり、あとは例えば、袖と身頃をバラバラで製作し、生地をネジで留めるんです。工業製品であるネジを衣装パーツとして使用することで、ユーザー次第ではネジを外すだけで別の生地に付け換えが出来るようになります。そういったものをギミックとして昇華することで流れ作業として着るだけでなく、着こなす機会や着る楽しさを作品の中で伝えていきたいと考えています。

 

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AHP:
ここまではmotoさんから見た現在のファッションシーンの分析、ご自身の過去の体験や作風についてお話いただきました。それに対して、次は今からどうしたいかを聞かせてください。

 

motoatom:
僕は自分の作品に大量生産への反抗(アンチテーゼ)をメッセージとして込めているので、製作におけるコンセプトにギミックをメインとし、ハンドペイントなどで1点物としての価値を持たせています。構造ありきなので、素材は限定せず、幅広く使用していきますよ。なんだろう・・・今っぽくないことをしたいというか。現実逃避したいんですよね(笑)

 

AHP:
なるほど。洋服ですからね。感動が詰まっていなければ過剰に物質的でもつまらないですよね。

 

motoatom:
はい。流行には乗りたくないし、今の空気感だけしか感じられないリアルな服は作りたくないですね。空想や非現実を上手く表現して、観てくださる方に感動を与えていきたいです。大人になると仕事を始めると社会の厳しさを経験しますし、ダークな部分も見るので子ども心を忘れていくようになっていくじゃないですか。でもどんなに大人になっても、子供心はいつまでもどこかに小さく残っていると思うんですよ。僕の作品は現実逃避だけど、それが忘れられた子供心に感動を与えるきっかけだと信じています。

 

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AHP:
ありがとうございます。いよいよインタビューも終盤戦です。今後の展望を聞かせてください。今後はどのような活動をしていきたいですか?

 

motoatom:
そうですね…。ハンドペイントの経歴もまだ浅く、まだ自分の中で作品の道筋がしっかりと固定していないんですね。まずは自分自身に納得したいです。今後は作品のクオリティを高め、良い作品を製作し、店舗様に取り扱ってもらうことが目標です。

 

AHP:
クリエイターとして取扱い(卸)は目標ですよね。それだけ商品価値があるってことですし。ですが、冒頭で今のファッションシーンについてお話を聞かせて頂いた際、流行に対して否定的なお話がありました。ご自身の目標である取扱い店舗を増やすことに対する最短ルートはビジネスの最善化ではないですか?流行を否定されましたが、ブランド運営のマネタイズを強化する際、結局は売れるモノを作りたいという声も出そうです。それに対する意見はありますか?

 

motoatom:
確かにそれは最善と言えば最善でしょうが、それは売れるモノに寄せるという意味ではありません。そして、学生さんのハンドメイド作品の段階でもいけません。お客様からおかねをいただく以上は、モノとしてのクオリティをひたすら純粋に高めていくのみです。ただ、僕のこだわりも捨てません。僕の場合、技法やギミックにこだわることが突き進んでいくための方法だと思っていますし、運営していく上で、ブランディングの取捨選択は真剣にやっていきたいと考えています。

 

AHP:
ありがとうございます。では、いよいよ最後の質問です。好きなことや挑戦したいことがあっても、まだチャレンジできていない人たちにむけて一言メッセージをお願いします。

 

motoatom:
とりあえず現実逃避しましょう。現実的を見すぎると動けなくなりますから。そういうことだと思います。

 

AHP:
最後はmotoさんらしいメッセージでしたね!本日は熱いインタビューをありがとうございました。

 

motoatom:
こちらこそありがとうございました!

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