ARTICLEアーティストのリアルを届ける特集記事
文・写真:yururi to furari
金魚と水槽、光と音楽
金魚たちがゆらゆらと水槽の中を漂う。その姿がこんなにも艶(あで)やかで美しいなんて。
展示室に足を踏み入れると、その世界にドキッとします。
展示されているのは、観賞用の金魚たちが様々な造形をした水槽の中で泳ぐ姿。そこに、光と音楽の演出が加わり、アートアクアリウムの世界を生み出しています。
江戸切子や行燈(あんどん)、手毬(てまり)などをモチーフとした和テイストの水槽、赤や青のきらびやかな光にクラブミュージック。ドキッとしてしまうのは、そこで泳ぐ金魚たちが、私を妖しい世界へ誘い入れるように艶(なま)めかしく泳いでいるから。それでいて、どこか儚く見えるから。
屋内では最大規模の展示
「アートアクアリウム」は、アートアクアリウムアーティストの木村英智さんがプロデュースする幻想的な水中アートの展覧会。2007年から、日本だけでなく上海やミラノと海外でも開催され、日本発信の新しいアート展として世界から注目されています。
アートアクアリウムの代名詞とも言える作品「花魁」。今回の熊本展示では、「超・花魁」として、規模を拡大。
熊本開催は今回が初。もともとは熊本城で開催の予定が、熊本地震が起こり中止に。今回改めて、「復興」をテーマに11月から展示がスタートしました。屋内展示としては過去最大の展示面積であり、西日本初登場となる作品「天井金魚」も見られます。
「天井金魚」。文字通り、見上げると金魚が。構想期間5年にも及ぶ作品。
金魚の姿を際立たせる空間
アートアクアリウムの魅力は金魚だけではなく、その演出にあると思います。カッティングの美しいオブジェ、幾重にも重なって見える不思議な水槽、花の生命力。漂う金魚に目を奪われますが、一歩離れて見てみると、さまざまな要素が融合して空間が出来上がっていることを感じます。オブジェに目を向けてみて。音楽に耳を済ましてみて。光を感じてみて。
そのほかにも、大物アーティストとコラボしたプロジェクションマッピングや、期間中毎夜開催される「ナイトアクアリウム」にも注目。
“金魚バー”で注文した「金魚カクテル」を飲みながら展示を眺めていると、竜宮城にで迷い込んだような心地になります。
また、展示を全て見終わると、最後に「アートアクアリウム」のヒストリーを、木村英智さんの考えとともにムービーで見ることができます。個人的にこちらもオススメです。
展示は1月13日(月・祝)まで。ぜひ行ってみてください。