田口あかね

AHP:
普段はどういう活動をされているのですか?

 

田口:
上通りにあるカフェスイッチというお店で副店長として勤務していて、コーヒーや軽食の提供をしています。

 

AHP:
インタビューにあたりお店で待たせていただきましたが、若い方からお年寄りの方まで多世代の方がゆっくり過ごせる場所だなと感じました。お店作りも気になりますが、まずは田口さんのこれまでの歩みについて聞かせてください。

 

田口:
はい。地元は天草で、苓北中から天草高校に進学し、熊本学園大学では社会福祉学部に在籍していました。高校ではソフトテニス部に在籍していましたが、文武両道の高校で部活と勉強の両立が大変でした。

 

AHP:
大学では社会福祉学部ということですが、大学時代はどのようなことをされていたのですか?

 

田口:
もともと保育士を目指して進学しました。アルバイトは居酒屋さんで、実はそこで接客業の楽しさに目覚めて保育士になるのを辞めたんです。(笑)

 

AHP:
まさか居酒屋のバイトでそんなに影響を受けるとはって感じですね(笑)
それで、今はバリスタという職業ですが、その成り行きはどうだったのでしょうか?

 

田口:
23歳のとき、ジェラート屋さんだけどコーヒーもできるという理由で選んだ飲食店で2年間働いていたのですが、もっと本格的にコーヒーの勉強をしたいと思っていたところ、偶然モリコーネの店長がやってきて、スカウトされたことがきっかけでモリコーネに入社しました。結局モリコーネに2年間勤めたのですが、毎日コーヒーの勉強と練習で、それが本当に楽しかったです。

 

AHP:
なるほど。それでは合計で4年間毎日コーヒーと向き合ってこられたのですね。

 

田口:
はい。それでもっと詳しくなりたいと思って、2件目は豆の種類や煎れ方もたくさんあるお店を選日ました。そこでは、お客様の好みに合わせて豆を選んだり、接客への慣れもでてきて余裕を持って対応することができるようになり。提供することの楽しみを覚えました。

 

 

AHP:
ただコーヒーを美味しく淹れるだけではなく、接客も含めてサービスを提供する。とても大切なことですね。

 

田口:
そうなんです。
コーヒーが好きになって、最初は上手に煎れるようになりたいって思いが先にあった時もありましたが、ここの珈琲が良いからとか、対応が良いから来るって直接気持ちをもらえるところが見えてきて少し考えが変わりました。
例えば、お客さんで女性の方だったら「髪型やヘアカラー変えましたか?」って一言添えてみて、コミュニケーションを楽しんでみたいし、とにかく明るい会話をお店でしたい。そういうやりとりの中で、「ありがとう」って言われた時の喜びは、接客業の一番の魅力かなって思います。

 

AHP:
確かに、コーヒーを淹れる方って淹れ方や味にこだわる方が多いですが、接客も含めて気持ちの良いお店ってそんなにないかもしれないと思いました。

 

田口:
純粋に美味しいコーヒーを飲みたいってお客様もいらっしゃるから、どっちが正解とかはないと思います。どちらもお客さんに喜んでもらおうとしていることに違いはありませんから。

 

AHP:
そうですね。それでは、実際にコーヒーの道を歩み始めてみてどうだったか、苦労があったのか、ギャップがあったのか思うところを聞かせてください。

 

田口:
なかなか描いていた通りにはいかなかったですね。2社目は雇われていたからコーヒーの勉強だけに集中できたけど、今働いているスイッチに入社してからは、コーヒーやメニュー全般、お客様のこと、スタッフのこと、そしてマネジメントとかお店全体のことだったり、経営の難しさを感じています。
いかにスタッフを育て、お客様の心つかめるか。

 

AHP:
スタッフを育てること。これは人と人だから簡単ではないですよね。

 

田口:
自分ができていても、他のスタッフができていなければ、お客様が毎回来てもお店のサービスとして安定してないお店になるから、なるべくどの時間にきてもおいしいコーヒー、心のこもったサービスを提供したいと思っています。
本当に人と人だし、アルバイトの子だったり働くことへのモチベーションの違いなどは難しいです。

 

AHP:
他にもありますか?

 

田口:
メニューの考案もとても悩ましいです。
ケーキは3種類、サンドイッチは2種類ありますが、これらはシーズンごとに変えています。ただ自分がいいなと思っても、本当においしそうに思ってもらえるか。それにみんなが作れるようにレシピを考えなければいけない。これは、お客様に飽きがこないように工夫をしたいという考えからの試みです。

 

AHP:
スタッフの教育やメニューの考案など、悩ましい問題だと思いますが解決の糸口はつかめているのでしょうか?

 

田口:
ここで働き始めて1年3か月ですが、ほぼ毎日いるのでお客様の好みやスタッフとのコミュニケーションなどいろんなことが掴めてきました。メニューの変更もリズムをつかんで、前より余裕をもって臨めるようになってきたことで改善されてきています。

 

AHP:
いい流れにあるようですね。今更ですが、なぜコーヒーが好きなのでしょうか?

 

田口:
私にとって、コーヒーは無いと生きていけないくらいの存在なんです。
水と一緒くらい(笑)
でも、実は昔は苦くて嫌いだったんですよ(笑)。ただ、傷心旅行にいった際にラテアートの珈琲が甘くておいしくて、感動したんです。
そこからコーヒーを好きになっていって、私もコーヒーで人を笑顔にしたいと思ったんです。いま、ラテアートの勉強をしたり、お店で楽しく実践できているのも、その時の経験があったからだと思います。

 

AHP:
(・・・傷心旅行。笑)
そんな田口さんのコーヒーへのこだわりを教えてください。

 

田口:
まず、コーヒーを飲むということについては、缶コーヒーも飲むし、スタバにも行くし、煎れたてのものも飲みます。
お店でもその日に飲みたいコーヒーを飲んでもらうのが一番だと思うし、私もその日の飲みたいコーヒーを飲みます。

 

 

AHP:
缶コーヒーも飲むんですね。でも確かにその時の状況や気分で選択肢があることは良いことですね。
ちなみに煎れ方にすごくこだわる方もいらっしゃいますが?

 

田口:
それはそれで良いと思います。結果的においしいものを提供するための拘りのはず。
でも、その価値観を押し付けることは違うと思いますね。

 

AHP:
想いには共感するけれど、それを押し付けるのは違うと。

 

田口:
はい。どんなことでもそうだと思います。

 

AHP:
そういえば、お店のPRとかをあまりしている印象がありませんが、普段広告とかは出していないのですか?

 

田口:
実は、SNSやHPは一切更新していないんですね。けれどお店は10年続いているんです。それはお客様がお客様を連れてきていただいている証拠ですし、とても嬉しく思います。なにも告知していないのに連日席が埋まったりするときは特に嬉しいですね。

 

AHP:
今後はどのような活動をしていきたいですか?

 

田口:
自分のお店を構えたい思いがあります。カフェやコーヒースタンドではなくて喫茶店が良い!カフェは万人受けを目指さなければいけないんだけど、喫茶店はオーナーの拘りが表現しやすいし、こだわりを認めてもらえるようなお店だと思う。みんなが集まれる場所が欲しい。そういう人のつながりのできる、縁のある場所をつくってみたい。

 

AHP:
それでは、最後にこれから一歩を踏み出そうとしている方に向けて一言お願いします。

 

田口:
私は周りの人たちが良い人たちで、それに恵まれていました。例えばスイッチの店長さんは初心者~上級者むけのコーヒーワークショップのインストラクターをやっているんですけど、おばあちゃんもいれば練習場所を求めている他店舗の新米スタッフさん。一般の珈琲に興味がる若い男の子や女の子もいらっしゃいます。
私もそんなワークショップを開いて、まだチャレンジできていない人たちへきっかけを与えられたらなと思います。珈琲人としての方向性は本人が決めることですが、踏み出すことが分からない子に踏み出し方をしっかり教えることは、私たちの役目だと思います。

 

AHP:
田口さんの根本に人に対する愛を感じました。またお店を構えた時は是非遊びに行かせてください。ありがとうございました。

 

田口:
こちらこそありがとうございました。

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