Event Report Vol.3【めにみえない みみにしたい】| 懐かしく、子どもらしく、大人っぽく、 切なくて、残酷で、あたたかい。

子どもから大人まで一緒に楽しめる演劇作品『めにみえない みみにしたい』

 

 

8月20日(火)・21日(水)に熊本県立劇場で上演される本作品ですが、一足先に7月21日、北九州芸術劇場へ行ってきました。

 

 

 

『めにみえない みみにしたい』のあらすじ

おねしょに悩むおんなのこは、飼い猫のにゃあにゃあちゃんから聞いた古い言い伝えを叶えるため、夜の森へ出掛けて行きます。おかあさんも子どものころに出かけた森には、たくさんの動物たちや不思議な生き物、妖精たちが住んでいました。森で出会った狩人に案内されて森の奥へ進むおんなのこ。やがて辿りついた古いおうち。となりの森と戦争が始まろうとする中、おんなのこが古いおうちで見たのは……。

 

 

 

 

 

 

 

このお話を、言葉だけで表現するのはすごく難しい。

懐かしいような、子どもらしいような、大人っぽいような、切なくて、残酷で、あたたかい。

 

 

マームとジプシーの藤田貴大さん作・演出。音楽はクラムボンの原田郁子さん。衣装はsuzuki takayuki。この名前を聞くだけで、ビビッとくる人もいるのでは?「演劇界の寵児」と称され、今多くの注目を集めている演劇作家の藤田貴大さん。独特の世界観で聴く人を魅了し、その歌声と音で不思議な世界へ誘ってくれる原田郁子さんの音楽。

 

 

ディテールが美しく、服の素材を生かしながら、着る人の存在感を高めるsuzuki takayukiの服。それぞれの個性がうまく混ざり合い、ものがたりが展開されます。

 

 

 

 

 

 

(北九州芸術劇場が公開している作品紹介movie)

 

 

 

 

 

 

感覚を開いて受け止める。こどももおとなも一緒に感じる不思議な物語

 

 

この作品は「子どもから大人まで楽しめる演劇作品」として紹介されていますが、ただ「子ども向け」なのとちょっと違うようです。

 

 

ある時は子どもが好きそうなワード、しりとり、じゃんけん、シャボン玉。そんな場面があるたびに子どもたちは目をキラキラさせて、ケラケラ笑い、楽しんでいます。そして、一緒に大人もときめき、ケラケラ笑います。

 

ある時は哲学的な表現があったり、時間が進んだり遡ったり、繰り返されたりしながら作品が進みます。そんな時は子どもも大人も不思議な感覚に。

 

 

 

思考だけでは受け止めきれないから、感覚を開き、台詞の響きや音楽に耳を傾けて、俳優の表情や動きに目を向けてみる。そうすると、言葉でないものから、意味が見えてきたり、耳にした音楽から、ものがたりにつながる感情が湧いてきたり。

 

 

 

ものがたりの「意味」を全ては理解していなくても、俳優たちの表情、感情、音楽、作品の空気感の中で、「意味」だけじゃないたくさんのことを感じていて、それはきっと子どもも大人も同じこと。それでいいんだと思います。「わからない」をわからないまま、「不思議だな」を不思議なままで鑑賞するものも楽しみのひとつかもしれません。

 

 

 

 

 

 

目にみえないものの世界

 

 

この作品に出てくる少女は、「目にみえないものを探す」冒険をします。そしてその経験は、少女のものだけでなく、作品を観ている私たちのものでもあるようです。

 

 

「目に見えないもの」。それは、精霊?音?風?何のことだろう?

「世界は、目にみえないものでできているのかもしれない。」

そんな台詞も、しっくりきます。

 

 

会場ロビーに飾ってあった、原田郁子さんの絵。

 

 

2019年8月20日、21日に熊本県立劇場で公演予定

 

 

『めにみえない みみにしたい』は少女の成長や自立、戦争といった奥深いテーマに、大人の方にとっても心に響くオススメの品です。。熊本では8月20日(火)・21日(水)、ぜひ県立劇場へ行ってみてください!

 

 

子どもたちの遊び場に貼ってあった、藤田さんからのメッセージ。

 

 

 

藤田貴大×原田郁子 対談/彩の国さいたま芸術劇場WEBページ

https://saf.or.jp/arthall/information/detail/930

 

イベント情報詳細はこちら

https://art-human.com/menimienai-miminishitai-kumamoto-2019/

 

文:yururi to furari

写真:yururi to furari

 

 

 

 

 

Event Report Vol.1 【デザインあ展】| デザインって、なんだろう。 ここにくれば、「デザイン」が近く感じる。

「デザインあ展」、富山・東京・山梨と開催され、ついに熊本にやってきました。会場は、熊本市中央区上通町にある熊本市現代美術館。熊本の“マチ”中で、最新のアートの風を吹き込んでくれる刺激的な場所です。「デザインあ展 in KUMAMOTO」は、ここで6月30日(日)から9月8日(日)まで開催されています。

 

 

 

 

「みる」「考える」「つくる」のデザイン的思考

-「デザインあ」は、子どもたちにデザイン的思考を伝える番組として、2011年にスタートしました。番組では、身のまわりに意識を向け(みる)、どのような問題があるかを探り出し(考える)、よりよい状況を生み出す(つくる)という一連の思考力と感性を「デザインマインド」ととらえ、斬新な映像表現を用いて伝えてきました。-

(主催者あいさつより)

 

 

「みる」、「考える」、「つくる」の「デザインマインド」。「デザイン」と聞くと、「おしゃれでカッコいいもの」をイメージするかもしれませんが、ここでいう「デザイン」は、どうやらそれだけではなさそう。いったいどんな展示になっているのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

会場に入るとまず迎えてくれるのは、みんなの描いた「あ」。ずらりと並ぶそれぞれの「あ」。同じ「あ」でも、人によっていろいろな見え方があって、その人が捉えた「あ」の世界を、今度は私たちに見せてくれています。

 

 

「デザインって、なんだろう」。

ここに来ると、そう思う人もいるはず。

 

 

ぜひ、ディレクターズメッセージを読んでみてください。総合ディレクターの佐藤卓さん、映像ディレクターの中村勇吾さん、音楽ディレクターの小山田圭吾さんが、“おとなの方へ”、“こどもたちへ”、この展覧会について、「デザインマインド」について語っています。

 

 

 

当たり前の世界を、じっくり見てみよう

 

さあ、いよいよ「デザイン」の世界がスタート。展示は「観察のへや」、「体感のへや」、「概念のへや」の3つに分かれていました。

 

まずは「観察のへや」。そこには私たちの身の回りにある「モノ」や「音」が広がっています。日常で当たり前にある、形・音・文字や数字。当たり前にあるものをじっくり観察してみると、何が見えてくるのでしょう。ワクワクや、思いもよらない発見、ひらめきかもしれません。

 

 

-「つくる」ことのほとんどは「みる」ことです。-

映像ディレクターの中村さんはこう言っています。「みる」ことから始まる、ということでしょうか。

 

 

 

 

 

それでは、「みて」みましょう。まず上の写真。岡崎智弘+スタンド・ストーンズの作品「抽象度のオブジェ」。男女の模型がだんだんと抽象化されていき、最終的に残る要素は?作者は男女の何を見たのでしょう。

 

 

 

野村律子「あの手 この手」。あなたはこの作品の何を見ますか?

 

へやを進んでいくと、「デッサンあ」のコーナー。そしてそこに、熊本城!?

 

 

 

 

ここでは、来た人が自由にデッサンできるように、お城の周りに紙と鉛筆などが一式用意されています。考えてみると、デッサンはモチーフをじっくり観察して描きますよね。「みて」、「考えて」、「つくる」作業。さっそく、私もトライしてみました。

 

描いたデッサンは、その場でスキャンして、ほかの人が描いたものと一緒に会場のモニターに映し出されます。ほかの人のデッサンを見ていると、自分とは違う視点。「あ!こういう描き方もあるんだ」と思わぬ発見も。

 

 

展覧会ホームページでも、みんなの「デッサンあ」をみることができますよ。

https://dessin-ah.jp/

 

 

 

 

 

デザインされたものに触れる。

そして、「デザイン」が近くなる。

 

 

「体感のへや」は、360度映像に囲まれた四角い部屋。音と映像が体に染み込んで、異空間に迷い込んだみたい。「デザインマインド」を、より感覚的に感じる作品です。ユーモアあふれた映像たち。この感動は、体感しないとわかりません!

 

 

 

中村勇吾/音楽:小山田圭吾 「あ」のテーマ

 

 

最後に「概念のへや」に辿り着きます。

ここでまた、「デザインってなんだろう」と思うのです。

 

 

時間、空間という目に見えにくい「概念」に、形が与えられ動くことによって、目に見える「モノ」になっています。それが、妙に納得いくもので。

 

 

 

「デザインマインド」によって生まれたものたちに触れると、「デザイン」って、私たちの“遠いところ”にあるものではなくって、“日常の中”にある要素を見つけて、その要素をもとに生み出されたものなのかなと思えてきて。

 

生みだされたものは、また日常の中に入って、人を納得させ、楽しませ、よりよい日常をつくっていくのかな。

 

「デザイン」って、面白い。

 

 

 

へやの外に出ると、最初に見た『みんなの「あ」』を描くスペースがありました。

 

 

 

あなたは何をみて、考え、描きますか?

 

「デザインあ展 in KUMAMOTO」、ぜひ体感してみてください。

https://www.camk.jp/exhibition/design-ah/

 

 

 

text:yururi to furari