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MUSIC FROM ARTIST Vol. 13 | banvox『Summer』

敬体?常体?どっちで書けばいいの?実は前語りは「です・ます調」の敬体、本文は「だ・である調」の常体を使い分けるというスタイルに落ち着いてます、Mastarrjaです。今回は東京在住のトラックメイカーbanvox氏について紹介させて頂きます。ではやっていきましょう。

 

それではまず楽曲について触れていきたいと思う。

 

 

「Summer」

 

 

ほとばしるエネルギーの塊。透明感のあるボーカルカットアップ*1に衝撃を受けた。音楽とはなんて素晴らしいんだろうと思わせてくれた。夏が始まるワクワク感、熱気、生きているんだという実感を与えてくれる。改めて筆者を、ダンスミュージックの世界で成功したいんだ、という気持ちにさせてくれた一曲。アップデートされたVIP Remix*2がめざましテレビのめざましジャンケンのコーナーに起用された。ライブ限定で聴く事ができるのだが、めちゃくちゃカッコいい。

 

*1 ボーカルカットアップ:元より存在するボーカルを切り刻み、再構築する手法
*2 VIP:Variation In Productionの略。本人が作った別バージョンの事

 

 

「Level Up」

 

 

中田ヤスタカとの共作。大好きな二人だったので知ったリリースの情報が出た時はとてもテンションが上がった。
ヨナ抜き*3音階のフレーズが使われており、日本発のダンスミュージックとして世界に発信していくという意思を筆者なりに感じた。
両者とも硬い音色を使うことも特徴の一つであるが、それが掛け合わさったことにより言わずもがなバッキバキになった。どこをどう分業して制作したのかが非常に気になるところ。
共通の趣味はゲームだとラジオ番組にて語っていたのだが、曲名の由来になっているのかもしれない。

 

*3ヨナ抜き音階:4番目と7番目の音を使わない音階。日本の固有の音階

 

 

「sAving」

 

 

アンビエント*4やチルアウト*5要素が含まれたこちらの一曲。リバーブ*6が深くかかった奥行きのある雰囲気の中、耳元で鳴る”カリカリ”、”チャカチャカ”としたパーカッションの質感とのバランスがとても心地良い。こういう曲も作れてしまうのか。

 

*4 アンビエント:音楽ジャンルのひとつ。環境音楽。リラクゼーションのための音楽
*5 チルアウト:同じく音楽ジャンルのひとつ。クラブで激しく踊った後落ち着かせるために聴くダウンテンポな音楽、と定義されている事が多い
*6 リバーブ:残響音を足す空間系エフェクト

 

“音楽をやるために全部捨てた”

 

 

 

 

 

次に彼の人物像に関して。まず彼がどのようにして音楽と出会ったのか。

 

彼の母が宝塚歌劇団に所属していた事もあり、ジャズやシャンソンを幼少期から自然と聴いていて、それを通じてラップやヒップホップにも興味を持ち始めるきっかけとなった。
さらに、小学3年生の時から自宅のパソコンで自発的に音楽を聴くようになったそうだ。”自ら音楽を探して聴く”という行為を始まる年齢が一般よりかなり早いと思われる。ちなみに私は高校1年生の時にようやく音楽に興味を持ち始めたのだが、皆さんはどうだろうか。

 

さて、ではなぜ彼が音楽を作り始めることになったのか。

 

兵庫で生まれ、岡山、香川、東京、と転々としていた。高校を中退したとのこと。その点に関して詳しくは明かされていないのだが、インタビューにて次のように語る。

 

“小さい頃から父親がいないんですね。母親一人でここまで育ててくれたのに、学校を辞めて何もなくなってしまって、ダメな自分で申し訳なくなって、人生に意味を感じなくなってしまったんです。そこで「本当にどうしよう、死ぬしかないな」と。でも、あるきっかけで自殺をした後に残された人達がどんな気持ちになるかを知りました。だから、母親のために生きるため、死ぬ気で音楽をやろうと覚悟を決めて音楽制作を始めました。なので制作を初めた1年で450曲以上作れたのだと思います。DJやりたいから始めたとか、音楽やりたいから学校をやめて始めたというわけではなく、生きるために何かしなければいけなくて、僕にとってのそれは音楽なんです。”

https://realsound.jp/2015/07/post-3759_3.html

 

たくさん乗り越えてきたのだろう。DAW*7を手にした最初の年には、なんと450曲以上作ったそうだ。平均すると1日1曲以上となる。彼の覚悟が自分自身を動かしたのか。彼が音楽と出会ってくれて本当に良かったと思う。

 

*7 DAW:デジタルオーディオワークステーション。パソコン上の音楽制作ソフト

 

 

 

 

最近はSNS上でファンとのコミュニケーションも見られる。肩の力が抜けたように見え、何だかちょっと嬉しい。あまり気負わずに自分のペースで作りたいものを作っていってほしいと思っているMastarrjaでした。読んでいただいた皆様、ありがとうございました!ではまた次回。

 

 


Mastarrja

作詞・作編曲/Trackmaker/DJ/Music Producer based in FUK
2016年より活動を開始。正の感情に基づき、高次元的で高揚感のある、或いは幻想的なサウンドを創り出し、そのどれもが未来の景色をイメージさせる圧倒的な美しさを持つ。地球をより良い方向へ導く為に活動している。

 

Twitter:https://twitter.com/Mastarrja

Instagram:https://www.instagram.com/Mastarrja/

SoundCloud:https://m.soundcloud.com/rintel-rantel

Spotify:https://open.spotify.com/artist/1WCRsxr7C2xVKovIr0tG4B

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