藤本光香

AHP:
では、よろしくお願いします。

 

藤本:
よろしくお願いします。

 

AHP:
光香さんはSANLDK(サンエルディーケー)代表の藤本くんの妹さんということで、兄妹で一緒にお店を切り盛りされていますよね。僕らはよく存じ上げていますが、インタビューをご覧いただいている方への自己紹介も兼ねて、改めて教えてください。現在はどういった内容の活動をされていますか?

 

藤本:
現在は熊本で【SANLDK/サンエルディーケー】というデニムアイテムとレザーアイテムに特化したブランドを展開しています。私はレザーアイテムの担当をしており、主に革素材を中心としたハンドメイドアイテムを中心に日々製作に取り組んでいます。【cue04/キューマルヨン】というお店を兄と2人で切り盛りしていまして、場所は新市街からシャワー通りを抜けたところで、世継橋の下にあります。私のアイテムもそちらに置いています。

 

AHP:
藤本さんはレザー製作を仕事にされる以前は何をされていましたか?

 

藤本:
私は普通に一般人という感じでして…(笑)高校卒業後は大型スーパーに就職して、野菜コーナーで働いていました。特に趣味でレザーに触れていたわけでもないんです。約3年くらい働いていましたが退職して、その後レザーアイテムの製作に取り掛かったというような流れですね。

 

AHP:
退職後、本格的にレザーを始められたんですね。これまで何度かインタビューをしてきましたが、本業の合間にやっていた趣味を仕事にしたくて会社を辞めたという方はいましたが、藤本さんのようなパターンは初です(笑)

 

藤本:
ん~(笑)性格が昔から猪突猛進なんですよ。「これをやる!」と決めたらチャレンジしないと気が済まなくて。スーパーで働いていた時も会社への不満より将来の不安の方が大きかったんです。「このままこれが何年も続くのかなぁ」だったり「私じゃなくても代わりはいるんじゃないのかな」とか。もちろん世の中のまともな仕事に優劣など無いと思っていますが、若かったので先のことを考えるとどうしても不安が付きまとってしまう部分もありました。だったら人生一度キリですし、好きなことやって終わりたいなと思ったんです。

 

AHP:
なるほど。

 

藤本:
話は少し逸れますが、祖母が昔からレザー製作を趣味でやっていて、子どもの頃から一緒に革を使った小物づくりを教えてもらっていました。小さい頃、私がレザーの小物を作ってあげるとおばあちゃんが凄く喜んでくれるんです。そしておばあちゃんもレザー製作を趣味でやっていましたが、それを販売したりはしない人で、周りの知り合いの方にプレゼントばかりしていました。そうやって周りが喜んでくれるのが嬉しいって思う人柄の優しいおばあちゃんなんです。レザーに彫刻されたアイテムのことを”カービング”と言うのですが、特にカービングアイテムばかり製作していて、私も幼いころからずっとそれを見て育ってきました。人が笑顔になってくれるって素晴らしいことだし、レザーもずっと手元に残るじゃないですか?私自身も革の虜になってしまい、退職してまとまった時間もできたことからレザー製作に打ち込むようになりました。おばあちゃんの背中を見てきたことをきっかけに、今に繋がっている気がします。

 

AHP:
実際にレザー製作を始めてみてどうだったですか?

 

藤本:
そうですね。最初は自分でつくって、そのまま自分で身に付けているだけでした。製作自体も決まりを知らなかったのもありますが、個人的には革を通して、自分のアイデアをどんどん表現できるようになることが楽しかったですね。今までは「これやって」と言われた中で行動したことしかなかったので…。それで私も当初は友人たちの目に留まって、プレゼントしていました。

 

AHP:
でもいずれは「プレゼント」から「ビジネス(販売)」に切り替わる瞬間が訪れるわけじゃないですか?実際に、現在はレザー小物の販売をされていらっしゃいます。どのタイミングで現在のようになりましたか?

 

藤本:
スーパーを退職したのも『自分で何かしたい』という気持ちからでした。実は当初、将来はカフェをしたかったのですが、コーヒーが特段好きではなかったんです(笑)嫌いという意味ではありませんが、カフェをするなら人一倍コーヒーが好きじゃないといけないじゃないですか。知識と想いが足りていないのに、カフェをやりたいと考えている自分がいるのは何故なんだろうと。自分なりに自問自答した結果、”人が集まる場所をつくりたい”という想いにたどり着きました。自分は小さくても良いから、人が行き交う場所づくりがしたいんだな~と。そこでレザーをメインにしたブランドを立ち上げて、それをきっかけに人が行き交う場所をつくろうと思いました。そして兄が店を開くタイミングになり、やるからには真面目にやるという決意を持って、2014年に先ほどお話した【SANLDK】ブランドをスタートしました。レザーの仕入れや製作過程も、私自身の裁量で行っています。これは製作の幅を広げる可能性でもありますが、責任も以前よりもっと大きくなりました。

 

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AHP:
そういう経緯があったんですね。その中で苦しいことや大変なことはありましたか?

 

藤本:
そうですね…。たくさんありますよ(笑)正直、自分の作品に対して「これでいいのか?」という悩みもありましたし、同業者の方の目も気になりました。仕事としてやっていく上で、知識と技術レベルが今どのくらいなのかという葛藤にも当たりました。今でもそうですし、もちろんどの段階でもそうじゃないと駄目だと思っています。元々、前職の会社員時代はとにかく「自由」になりたい気持ちが強かったんです。ただ、自分でやると金銭の保証もないですし、時間も費やすので、自由の厳しさを知りましたね。責任が伴うことを知りました。弱気な発言に捉えられるかもしれませんが、もし戻れるなら、本職(一般職)に好きなこと(趣味)を合わせて活動していたかもしれませんね。本当に好きなら並行して活動していたのではと、ちょっと思ってしまう部分もあります。

 

AHP:
僕も前職の販売員を退職し、製作にシフトチェンジした側なので、気持ちは物凄く分かります。不安がつきまといますし、気持ちの負担も大きいですよね。でも並行していないからこそ、その瞬間に作れるものもありますから、悪いことではないと思います。そういったことも踏まえて、次は兄妹でお店を切り盛りすることについて教えてください。どんな心境ですか?

 

藤本:
とにかく一緒にいる時間が長いので、その分だけ注意し合うことが多くなります。プライベートな時間の時はなるべく仕事のことは忘れたいので、仕事とプライベートの割り切ることの大事さを覚えました。仕事とプライベートを混ぜた過ごし方は私には合いませんでしたね。逆に時間の面ではいつでも話す機会があるので、そういった意味で他の会社形態の方より都合が良いですね。前向きな捉え方もできます。ただ、今は作業面での指摘が兄からあるんですけど、自分も負けん気が強いので、いつか兄を見返してやろうと思っています。

 

AHP:
なるほど(笑)指摘されると悔しいですもんね。でもレザーを始められてまだ2~3年ということで、日は浅い方ですよね。先ほど、同業者の方の視線の話が少しありましたが、そういった製作に置いての葛藤はどうやって乗り越えていらっしゃいますか?

 

藤本:
それも相当悩みましたが、開き直るしかありませんね。店頭に並べるモノに対しては、「今この段階で、それに見合った価格」といった感じです。キャリアは急に伸びませんから、とにかく継続的に練習していくしかありません。やった分だけ上手くなるのも一つの手段として見てもらうしかないなと思いました。ただ、開き直っているだけでは上手くなりませんから、最近は商品展開を少し工夫して、ベーシックなレザーアイテムも取りそろえつつ、SANLDKの私にしか出来ないアイテム製作にも力を入れています。でないと面白くないじゃないですか?ブランドらしさの追求と、それを表現するアイテムの製作は大事なことだと思っています。

 

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AHP:
インタビューもだいぶ温まってきましたね(笑)今後はどのように活動されたいですか?

 

藤本:
今後のブランドのビジョンを見据えて、どこに向かうべきかをはっきりさせたいと思います。でも、あまり目立ちたくはないです。もともと普通でいたい人なので(笑)

 

AHP:
ではそのビジョンを良かったら聞かせてください。

 

藤本:
それは2つあって、まず「ブランドとしてのビジョン」です。これは人が喜んでくれるモノづくりの追求です。SANLDKを通じて、皆さんの日常に寄り添うレザーアイテムを作りたいですし、いつも変わらずに、手に取って頂いたお客様のそばにあるものを作りつづけていきたいです。もう1点の「自分自身のビジョン」ですが、見た目は普通なのに、やっていることは物凄い人に成りたいです。それは見た目と実力のギャップをつくって凄い人だと思われたいとかではなくて、そうやって周りの人にも『私もできる!』と思ってもらいたいんです。見た目が普通で、凄いことやっていたら『なんでアイツに出来るんだろ~?』って思いませんか?可能性って、チャレンジしてみないと分かりませんし、私もレザーに挑戦してみて良かったと思っています。なんとなくではありますが、そうやって周りに勇気を与えられるような人になりたいですね。

 

AHP:
ありがとうございます。では、最後の質問です。挑戦したいことや好きなことがあるのに、まだチャレンジできていない人たちに向けて一言ください。

 

藤本:
「やらずに後悔するより、やって後悔しろ」です。どうにかしたい人は行動しますし、そういう人は良い意味でどうにかなります。とにかくチャレンジしてみることが大事じゃないでしょうか。

 

AHP:
本日は貴重なお時間いただきありがとうございました!

 

藤本:
こちらこそありがとうございます!

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